ご先祖様が教えてくれたこと。

「ベンガラ」

という言葉を聞いたことのある方はいらっしゃいますか?

漢字では、「弁柄 」や 「紅柄」。
一言でいえば、「伝統的な赤色」の顔料です。
(昔は滋賀の名物『赤こんにゃく』の着色料にも使われていたそうです)

ベンガラの作られ方は、簡単には説明できないので割愛しますが、、、

ここから、私の父の祖母(私にとっては曾祖母)の話です。

念のため私の親にも、紹介しても良いかの了解を取った上での投稿です。

曽祖母は、岡山県高梁市にある吹屋(ふきや)という村で、ベンガラの原料となる「ローハ」の製造で財を成した「広兼家」の長女でした。


(ひぃおばあちゃんの生家(広兼邸)
詳細は↓
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/広兼邸

明治時代、
『田舎の名家の長女(曾祖母)が、金襴緞子に身を包み、
備中の高梁川を悠々と舟で下っていき、
嫁すべき港(私の地元)についたとき、
その嫁入りの大行列は
町を上げてのお祭り騒ぎとなった』と、
唄にまでなりました。

「ベンガラ」に関わる直系にありながらも、
私は「ベンガラ」がどこで / どのように使われていたのかを
知りませんでした。

ベンガラの「ベ」の字も気にかけないような日々の中、
今年に入り、母から
「曽祖母の家のベンガラが、
有田焼や伊万里焼に使われていたみたいよ。」
との連絡が。。。

このとき、言葉にならない興奮を覚えました。

有田焼の色絵は、「赤絵」とも呼ばれているのに、
今までなんで気がつかなかったのか。

すぐにamazonや、実家に残っていた資料など、
入手可能な ありとあらゆるベンガラに関する書籍を
取り寄せ、読みあさりました。

すると吹屋のベンガラは、江戸時代中期以降、
その質の良さと供給の安定性から、
『吹屋ベンガラ』として伊万里(有田)焼、
九谷焼等の高級磁器用赤色顔料の、
実に95%以上のシェアを獲得していた
ということを知りました。

【ベンガラを製造していたのは、日本国内では唯一、吹屋だけ。(他は外国産)】

そして、

【高級磁器の赤色は『吹屋ベンガラ』が独占していた】といっても過言ではない状態だった、

ということを知ったのです。

そして、とある資料で見つけた
曽祖母の家である広兼のベンガラも、
『有田・伊万里焼の高級磁器に利用されていた』
という文章に、
思わず涙が溢れるほどに感動。。。

今でも人間国宝・14代今泉今右衛門先生の「赤色」は、
広兼家の遠縁にあたる西江邸の西江さんから、
ベンガラの原料を譲ってもらっているそうです。

マイセンをはじめとする西洋磁器は、
もとは中国の染付や、日本の古伊万里に憧れて
誕生した磁器工房。

ヨーロッパの王侯貴族が虜になった古伊万里に使われた「赤色」を、
私のご先祖様が作っていたという事実は、
「こじつけ」という一言では片付けられないくらいに、
私が西洋磁器に魅了される理由として、
非常にしっくりきたのです。

私が幼い頃から、西洋磁器に魅了されていたのは、
《西洋磁器の歴史の奥にある日本、
そして さらにその奥にある「ご先祖様のうみだした赤色」》
に共鳴していたのだ、

そんなことを、30代前半の良い歳の大人が、
本気で思っています。
本気も本気、ど真面目に、洋食器……
とりわけ西洋磁器に対して、運命や宿命すら感じています。笑

ちなみに、そんなご先祖様が関わり、
「赤の中の赤」とも呼ばれた「吹屋ベンガラ」ですが、
現在は ほぼ消滅状態にあります。

ここから、私の仕事(料理教室&洋食器講座)と、
起業する思いにいたった話につながっていきます。
(ちなみに先に言っておくと、
何か物を売る仕事をするつもりはありません。
あくまでも私は「講師」であり、
料理の楽しさ・洋食器の魅力を伝える仕事を
していきたいのです。)

長くなりすぎたので、つづく。

* * *

ちなみに岡山県高梁市にある吹屋は、
とてもノスタルジックなまち並みが特徴。

豪商が財にあかせて建てた豪邸は
全国各地に見ることができますが、
吹屋の特異な点は、
個々の屋敷が豪華さを纏うのではなく、
旦那衆が相談の上で石州(今の島根県)から
宮大工の棟梁たちを招いて、
町全体が統一されたコンセプトの下に建てられたという、
当時としては驚くべき先進的な思想にあります。
(観光協会のサイトより引用)

いつか一期会の生徒さんもご案内したいです*

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